A.ER診療のポイント
浮腫とは細胞間隙に過剰に液体が貯留した状態のことで,皮膚や粘膜のような体表組織のみならず,生体のほとんどの部位や臓器組織にも発生する.ER診療の視点から浮腫を考える場合,患者側から観察できる皮膚・皮下組織や体表近くの粘膜組織に生じる浮腫で,急性に(通常は数日以内に)発症したり最近悪化してきたものが問題になる.
浮腫そのもので緊急性の高いものは気道の浮腫をきたす病態のみである.その他の緊急を要する病態は,浮腫の原因となっている全身疾患などにより意識の異常や呼吸不全,循環不全がみられる場合で,全身状態の安定に加え原疾患の治療が必要となる.また,全身状態に異常はないが,救急受診時に見落としてはならない病態もあり,注意深く鑑別する.
1上気道閉塞に至るような浮腫
顔面,口腔内,咽喉頭の浮腫症状を訴える患者では,数時間以内に上気道閉塞に至るような重篤な浮腫をきたす場合があるため