A.ER診療のポイント
●皮疹(表1図)の原因は非常に多岐にわたるが,まずは全身性のものか局所性ものかで分け,それぞれ緊急性があるかないかを考える.
●全身性の皮疹では,薬剤性のものが問題になるが,特にアナフィラキシーを見逃さない.疑ったら,ただちに処置にとりかかることが大切である.
●局所性の皮疹で注意するべきものは,壊死性筋膜炎である.皮疹の割に痛みが強い場合や重篤感がある場合には鑑別に挙げる.外科的処置を必要とするので,早々に外科医を呼ぶ.
B.全身性皮疹
1アナフィラキシー
全身性の皮疹のうち,最も緊急度が高いのはアナフィラキシーである.ハチ毒,食事(+運動),薬剤などによる即時型アレルギーによって引き起こされる.原因薬剤としては,造影剤,抗癌剤,NSAIDs,抗菌薬,血液製剤などが多い.
医薬品の投与後5~30分以内に,蕁麻疹やそう痒感,紅斑・皮膚の発赤などの全身的な皮膚症状がみられることが多い.皮膚症状以外には,消化器症状(嘔吐,下痢,心窩部痛など),眼症状(視覚異常,視野狭窄など),呼吸器症状(呼吸苦,咽頭部違和感,犬吠様咳嗽,喘鳴など),循環器症状(頻脈,血圧低下など),神経関連症状(不安,恐怖感,意識混濁など)をきたすこともある.
アナフィラキシーを疑ったら,ただちに当該薬品の投与を中止し,酸素投与,モニター装着,静脈ラインの確保を行う.
1皮膚症状のみの場合 H1受容体拮抗薬〔クロルフェニラミン(ポララミン®薬,クロール・トリメトン®薬)など〕を内服もしくは静注し,1時間ほど経過観察する.症状が軽快するようであれば,2~3日分のH1受容体拮抗薬を処方し帰宅とする.
2消化器症状がある場合 H1とH2受容体拮抗薬の静注後1時間ほど経過観察する.症状が軽快するようであれば,2~3日分のH1,H2受容体拮抗薬を処方し帰宅とする.
3呼吸器症状を呈している場合
①犬吠様咳嗽,喉頭
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