A.ER診療のポイント
●腰痛はERで遭遇するありふれた症状で,多くの場合,筋・筋膜あるいは骨格系に由来し,対症療法で対応可能なことが大半である.
●しかし,内科的疾患が原因のこともあり,整形外科領域の疾患も含め,ERでの緊急処置や速やかな専門医へのコンサルテーションを必要とする疾患が紛れ込んでいることもある.
●したがって,まず緊急度が高い疾患や命にかかわる疾患を除外することが大切.以下に注意すべき疾患を列記する.
①大動脈疾患
②炎症性疾患(感染症,化学性炎症)
③神経症状(下肢の筋力低下,知覚障害など)を呈するもの
④悪性腫瘍
B.最初の処置
1蘇生処置の必要性
大動脈瘤の破裂では,分単位で急激なショック状態に陥ることも多い.腰痛だけの訴えで腹部大動脈切迫破裂の症例もあり,またwalk-inの患者が来院後に急変することもある.蘇生処置が必要になることもあり,救急カートは常に整備しておく必要があ