A.疾病・病態の概要
●原因として原発性と続発性に大別される.原発性腹膜炎は腹腔内に感染源がないもの.特発性腹膜炎ともいう.臨床的にはまれであるが,腹水を伴った肝硬変患者に合併して発症すると予後不良である.治療は抗菌薬による保存的治療が中心となる.
●続発性腹膜炎は,腹腔内臓器から細菌,消化液が流出して腹腔内を汚染することによって発症する.二次性腹膜炎ともいう.基本的に化学的刺激や細菌感染によって発生する.発生頻度は圧倒的に続発性が多い(表1図)
●腹膜へ炎症が波及すると腹膜表面の毛細血管が拡張し,血漿成分が腹腔内に滲み出し腹水の増加をきたす.
●炎症がさらにびまん性に拡がると,腸管の浮腫・麻痺が生じ,腸内容の停滞と腸管壁から腸管内への細胞外液の漏出が起こり,腸管内に大量の水分が貯留する.
●上記に腹膜の浮腫が加わって,体液喪失が著しくなると循環血液量減少性ショックに陥る.穿孔により腸内細菌などグラ