A.疾患の概要
●概観:糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧性非ケトン性昏睡〔この名称は病態を正確に表現していないため,最近では高浸透圧性高血糖状態(HHS)と呼ばれる.ここでは後者を用いる〕は,ともに糖尿病の重篤な合併症である.発生頻度はDKAの方が高い.インスリンの発見前には100%に近かった死亡率は,治療法の進歩によりDKAでは数%にまで低下したが,基礎疾患を有する高齢者が多いHHSでは依然20%弱を示している.
●病態:インスリンの不足が根底にある.ブドウ糖利用障害,糖新生亢進,グリコーゲン分解亢進による高血糖と,血漿浸透圧上昇がみられる.DKAではグルカゴンなどのいわゆるcounterregulatory hormoneの過剰が明らかである.HHSでは高ナトリウム血症と高窒素血症が加わり,血漿浸透圧の上昇が特に著しい.浸透圧利尿と経口水分摂取困難,嘔吐により水分と電解質の著し
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