診療支援
治療

急性腎不全
acute renal failure(ARF)
織田成人
(千葉大学大学院教授・救急集中治療医学)

A.疾患・病態の概要

●急性腎不全は,数時間~数週間の間に腎機能が急激に低下して生体恒常性を維持できなくなった状態であり,尿毒症状や溢水,電解質異常などを呈する症候群である.

●急性腎不全による高カリウム血症,肺水腫,高度のアシドーシス,意識障害などは致死的な病態であり,緊急の処置を必要とする.

●多くの場合,急性呼吸不全や急性循環不全などを伴い,多臓器不全の一分症として発症する.原因としては,出血性ショックや外傷,敗血症などが多い.

●慢性腎不全と異なり,原因に対する適切な治療が行われ,腎不全の状態を血液透析などの腎補助療法で乗り切れば,多くの場合は腎機能が回復し腎補助療法から離脱できる.

●一般に急性腎不全は腎前性,腎性,腎後性に分類される.

●腎前性は循環血液量減少や心拍出量の低下などによって尿量減少をきたした状態であり,脱水,出血,心不全,敗血症性ショック,腹部コンパートメント症候群などが原因

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?