診療支援
治療

破傷風
tetanus
鈴木宏昌
(帝京平成大学教授・健康メディカル学部)

A.疾患・病態の概要

●破傷風は,破傷風菌(Clostridium tetani)によって起こる感染症で,主な病態は破傷風菌によって産生される菌体外毒素(神経毒:テタノスパスミンtetanospasmin)により起こる神経症状で,いまだに死亡率の高い疾患として重要である.

●破傷風菌は偏性嫌気性のグラム陽性桿菌で好気的な環境では生育できないが,熱や乾燥には抵抗性が高く芽胞を形成する.破傷風菌の芽胞は世界中の土壌中に広く分布常在しており,誰でもどこででも感染の可能性がある.わが国でも1950年には年間2,000例近い報告患者があり,80%以上という高い死亡率であった.しかし,破傷風トキソイドワクチンによる基礎免疫(発症阻止抗体価0.1IU/mL以上)の取得により発症は阻止できることが疫学的に示されており,感染症法改定により全数把握の対象である五類感染症に指定されて以降でも年間報告例は100例前後

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