A.疾患・病態の概要
●アレルギー疾患の治療指針として,小児気管支喘息治療・管理,アトピー性皮膚炎診療,鼻アレルギー診療,喘息予防・管理と種々のガイドラインがあり,喘息患者の約60%は非専門医により加療され,喘息治療ガイドラインや喘息カードにより正確な重症度判定と適切な治療が喘息死を減らしている1).食物依存性運動誘発アナフィラキシーでは,患児,保護者だけでなく学校・園においても食物アレルギーの認識が大切で2),食物アレルギーの初期対応の啓発とアレルギー専門医との診療連携の強化が必要である3).また,急速にアナフィラキシーをきたすラテックスアレルギー(LA)や口腔アレルギー症候群(OAS)も近年増加して,接触部位の蕁麻疹やかゆみの初発症状の認識が大切である4).
●生体が抗原物質に曝露されると,遺伝的体質(アトピー体質)で作り出されたIgE抗体が特異的な受容体を介して肥満細胞や好塩基球と結合する.この状態で再度抗原に曝露されると,抗原抗体反応によってヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が細胞表面で放出され,蕁麻疹,紅斑,鼻炎,下痢などが発生し,数秒~30分以内に急激なショック状態に陥る(アナフィラキシーショック).一般に,IgE抗体を介さずに化学伝達物質が放出されるアナフィラキシー様反応によるショックも含めて称されている.解熱鎮痛薬,抗菌薬などの薬物,食物などが原因の場合が多く,それ以外にハムスター咬傷のように原因が多様化する傾向にある.
●ヘルパーT細胞は産生するサイトカインの違いからTH1とTH2の2種類に分類され,TH1細胞から産生されるサイトカインでIgE産生を抑制し,TH2細胞から産生されるサイトカインで促進されている.好酸球の活性はIL-5により制御され,好酸球の活性化ならびに局所への浸潤もT細胞(特にTH1)により抑制されている.好酸球とT細胞浸潤による炎症
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