診療支援
治療

髄膜炎(化膿性,無菌性)
meningitis
石和田稔彦
(千葉大学大学院講師・小児病態学)

A.小児ならではのポイント

1化膿性髄膜炎

●一般的な臨床経過としては,感冒様症状に続き,発熱,嘔吐,易刺激性から痙攣,意識障害へと進行する.どの段階で救急外来を受診されるかわからないため,病初期に化膿性髄膜炎を診察のみで診断することは困難である.

●化膿性髄膜炎の好発年齢である乳幼児では,項部硬直などの髄膜刺激症状がはっきりしないことも多く,また成人と異なり具合の悪さを自らの言葉で訴えることができないので,哺乳力の低下や不機嫌,泣き声が弱い,活動性低下などの全身状態から推測する必要がある.

●何となく様子がおかしい「not doing well」という表現は,化膿性髄膜炎を疑わせる所見である.このような表現は,常に患児を見ている保護者から発せられることも多く,「いつもと様子が違う」という保護者の言葉に真摯に耳を傾ける姿勢が必要である.

●キーキーとした甲高い泣き声は「脳性啼泣」と呼ばれ,化膿性髄膜炎を疑わせる所見とされる.

●インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンと7価肺炎球菌結合型ワクチンは,化膿性髄膜炎予防ワクチンであり,このワクチンの接種歴を聴取することも診断の参考となる.

2無菌性髄膜炎

●年長児では発熱と頭痛,嘔吐を主訴とし,項部強直などの髄膜刺激症状を認めることが多い.

●エンテロウイルスなどの夏かぜに伴うことや,流行性耳下腺炎に合併することが多く,咽頭所見や耳下腺腫脹などの随伴症状に留意して診察する.

●周囲の感染症流行状況を聴取することも参考となる.

●乳児では,発熱や嘔吐,不機嫌などと共に,大泉門膨隆を認めることがあるが,髄膜刺激症状ははっきりしないことも多い.

●一般的に,無菌性髄膜炎の方が化膿性髄膜炎に比べ全身状態は良好であるが,乳幼児では,診察のみで化膿性髄膜炎と無菌性髄膜炎の鑑別は困難である.


B.最初の処置

1バイタルサインのモニタリング

 意識障害が認められている場合には

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