A.病態
●上腕骨は近位端,骨幹部,遠位端の3部位に分けられ(図1図),骨折の部位によって病態や治療法などが異なる.
●近位端骨折は中高年者に多く,転倒して肩を打ったり,手をついた時に受傷する.青壮年では交通外傷や高所からの転落で生じる.
●骨幹部骨折では交通外傷,労働災害,転倒,転落,スポーツなどにより直達外力や介達外力が生じ発生すが,投球,やり投げ,腕相撲などで自家筋力の作用が受傷原因になることもある.
●遠位端骨折は転落や転倒により手をついて受傷する.上腕骨顆上骨折,上腕骨外顆骨折,上腕骨内顆骨折に分類される.
●開放性か非開放性かが治療方針や予後に大きく影響する
●高齢者では骨粗鬆症に伴う多発骨折や病的骨折にも注意を要する
●骨折部の腫脹や変形に加え神経・血管損傷を合併する場合には,初期治療に注意を要する.
B.初期診療と重症度判定
1初療室での診察
①開放性か非開放性かを確認する.開放創があればこれ