診療支援
治療

高山病
mountain sickness
篠崎克洋
(山形大学講師・救急医学)
川前金幸
(山形大学主任教授・麻酔科学)

A.疾患・病態の概要

●高山病は,吸入酸素分圧の低下による低酸素血症が主病因である.低濃度酸素を呼吸しつづけると,呼吸数増加,脈拍数増加,悪心・嘔吐,めまい,集中力低下あるいは筋力低下といった症状を呈する.高度になると昏睡から死に至る.

●高山病には急性高山病と慢性高山病がある.前者は,非高地に住む者が高山に行ったときにみられ,重症例では肺水腫や脳浮腫が生じる.後者は,標高2,500m以上の高地居住者にみられる長期的な高所適応不全で,多血症と肺高血圧症が主症状をなす.日本で問題になることは多くないが,注意が必要である.

1急性高山病

 急性高山病,高地肺水腫および高地脳浮腫は最も重要な高所関連疾患である.広義の急性高山病の特徴と症状を表1に示す.過去に罹患したことのある者は再び発症しやすく,重症例は若年者に多くみられる.

1急性高山病(acute mountain sickness:AMS)

①急速

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