救急の現場においては,限られた時間内に必要最小限の検査を行って救急患者の診断や有効な治療に結びつけることが重要である.このため,バイタルサインや身体所見などに基づいて検査を選択することが要求される.
A.血液検査
1末梢血検査
貧血,血液濃縮,炎症,感染症,出血傾向などを鑑別するための重要な検査である.
①赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリット値の正常値を超える増加は,脱水や輸血過剰による血液濃縮を示唆する.
②赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリット値の減少は出血や血液希釈を示唆するが,注意すべき点は,急性の出血においては,出血性ショックであっても初期にはこれらの値は低下を示さないということである.
③白血球数の増加の多くは炎症や感染症を示唆するが,その他にも血液疾患,心筋梗塞,一般的なストレスなどでも増加することを念頭に置く必要がある.際立った白血球数の増加を示し,白血球分画で未熟な骨髄球などが出現している場合には,血液疾患や重症敗血症が鑑別に挙がる.
④逆に白血球数が減少している場合は,重症感染症が鑑別として挙がる.
⑤血小板数の減少は重症感染症,肝硬変,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC),外傷による凝固能異常などで認められる.血小板数5×104/μL以下で出血傾向を示す.
2血液生化学検査
1血糖(Glu) 意識障害の鑑別で重要な検査である.
①低血糖は60mg/dL以下とされ,血糖降下薬やインスリン薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬によるもの,肝硬変,アルコール,インスリノーマなどで認められる.
②高血糖は何らかの侵襲が生体に影響を及ぼした場合に認められ,ショック,敗血症,外傷などで認められる.糖尿病性昏睡にみられるように,高血糖自体により意識障害を生じる.
2蛋白(TP)
①蛋白の減少は,重症感染症,熱傷,ネフローゼ,腎不全,心
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