救急の現場においては,限られた時間内に必要最小限の検査を行って救急患者の診断や有効な治療に結びつけることが重要である.このため,バイタルサインや身体所見などに基づいて検査を選択することが要求される.
A.血液検査
1末梢血検査
貧血,血液濃縮,炎症,感染症,出血傾向などを鑑別するための重要な検査である.
①赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリット値の正常値を超える増加は,脱水や輸血過剰による血液濃縮を示唆する.
②赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリット値の減少は出血や血液希釈を示唆するが,注意すべき点は,急性の出血においては,出血性ショックであっても初期にはこれらの値は低下を示さないということである.
③白血球数の増加の多くは炎症や感染症を示唆するが,その他にも血液疾患,心筋梗塞,一般的なストレスなどでも増加することを念頭に置く必要がある.際立った白血球数の増加を示し,白血球分画で未熟な骨髄球などが
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