今日の診療
内科診断学

肥満,肥満症
田蒔 基行
松本 俊夫


肥満,肥満症とは

■定義

 2011年に肥満学会が提唱したガイドライン〔肥満症診断基準2011〕では,肥満を単に体重が重いという意味の「肥満」と,医学的に減量を必要とする「肥満症」を区別している.

 肥満・肥満症(obesity)は原発性と,他の疾患に起因する二次性に分類され,二次性肥満のなかには原疾患の治療により肥満が解消されるものがあるため,注意が必要である.

●肥満の定義:脂肪組織が過剰に蓄積した状態で,BMI 25kg/m2以上のもの.

●肥満症の定義:肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか,その合併が予測される場合で,医学的に減量が必要な病態をいい,疾患単位として取り扱う.

■患者の訴え方

 患者は美容上の問題から「太い」「太っている」と訴えることが多い.

 なお,肥満に伴う随伴症状として「頭が痛い」「息苦しい」「口が渇く」「汗をかきやすい」などの症状を訴えることもある.

■患者が肥満を訴える頻度

 肥満を主訴として来院する患者の詳細な頻度は明らかではないが,その大部分(98〜99%)は体質,あるいは単なる過食による原発性肥満(単純性肥満)である.その他の原因による肥満の頻度は少ない.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

(図3-11)

 患者が肥満を訴える場合,実際に肥満か否かを後述する方法で確定したのち,患者の食生活,家族歴,肥満歴,運動量などを医療面接で確認し,過食あるいは体質によるものか,視床下部性,内分泌性,代謝性,遺伝性などによるものかをまず考える.

 肥満の本態である脂肪組織の過剰蓄積は,個体において摂取エネルギーが消費エネルギーを超過した結果を示している.すなわち,エネルギーバランスを支配する食欲,ホルモン分泌,自律神経系などの異常が複雑に関連し合って肥満が形成される.その原因疾患として主なものを表3-14に示す.

■病態・原因疾患の割合

 98〜99%が原発性(単純性)

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