今日の診療
内科診断学

頭痛
須山 信夫
小林 祥泰


頭痛とは

■定義

 頭頸部に限局する痛みの自覚症状を指す.日常の診療で,最も多くみられる症状の1つである.原因は多様で,痛みの強さが必ずしも重篤さを表すとは限らない.器質性疾患に由来する症候性と,器質性疾患に由来しない機能性の頭痛がある.

■患者の訴え方

 頭痛(headache)には,機能性頭痛と症候性頭痛がある.初診時に鑑別診断をするうえで重要なことは,症候性頭痛のなかで,くも膜下出血,脳腫瘍などの頭蓋内器質性病変を見逃さないことである.「急に頭痛が始まった」「いつもの頭痛と違う」と訴える場合は,症候性の頭痛の可能性があるので,緊急CT,髄液検査などを行い,頭痛の原因を至急明らかにする必要がある.

■患者が頭痛を訴える頻度

 外来初診患者のうち10%近くが頭痛を主訴としている.このうち片頭痛が10%,緊張型頭痛が45%,群発頭痛が1.5%で,機能性頭痛が60%を占め,頭蓋内の器質性病変,髄膜炎,脳炎によるものは1.5%とされている.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

(図3-48)

 発生機序から頭痛を考えると,①血管由来の頭痛(片頭痛,群発頭痛),②頭蓋外の原因による頭痛(緊張型頭痛,頸部・眼・耳・鼻などによる頭痛),③牽引・炎症による頭痛(脳腫瘍,脳膿瘍,慢性硬膜下血腫などの占拠性病変,くも膜下出血,静脈洞血栓,髄膜炎など),④神経痛に分けられる.これらの分類を表3-57に示す.

 これらの疾患が原因となり,早急に的確に病因を把握して処置をしなければ生命に危険のある頭痛があるが,見落とさないためには医療面接が重要である(表3-58)

■病態・原因疾患の割合

 疾患のおおまかな頻度と臨床的重要度を図3-49に示す.

診断の進め方

■診断の進め方のポイント

●頭痛は主観的なものであり,強弱の訴え方には個人差がある.

●頭痛の程度は,日常生活動作の障害度から判定する.

●受診時には頭痛がない場合

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