今日の診療
内科診断学

めまい
長井 篤
小林 祥泰


めまいとは

■定義

 平衡機能の反射系が障害され,自分が運動していないのに運動しているように感じる異常感覚で,結果として姿勢の統御が困難になることが多い.

■患者の訴え方

 実にさまざまな症状がめまいとして訴えられる.大きく分けると,以下のようになる.

①回転性めまい(vertigo):周囲または自分がぐるぐる回る,揺れる,傾くなどの回転感,傾斜,昇降感がある.

②浮動性めまい(dizziness):体がふらつく,船に乗った感じがするという漠然とした浮遊感がある.

③失神性めまい(presyncope:faintnessまたはblack-out):目の前が暗くなる感じ(眼前暗黒感),立ちくらみ感が代表的である(表3-61)

■患者がめまいを訴える頻度

 めまいは,頭痛やしびれなどと並び,神経内科あるいは耳鼻科の外来診療できわめて頻度が高い.外来患者の数%〜10%ほどを占める.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

(図3-51)

 めまいの性質は大きく3つに分類(表3-61)されるため,いずれの症候なのかを鑑別する必要がある.vertigoは,末梢前庭性めまいに生じて眼振を伴うことが多い.dizzinessは,中枢性に平衡障害をきたしたときに生じる.black-out,faintnessは,脳血流低下による失神性と考えられる(表3-62)

 3つの範疇に合致しないめまいの訴えがある場合,不安神経症やヒステリーなどで生じる心因性めまいを除外する必要がある.心因性めまいは頭がボーとしたり,ふらつきなど不定愁訴を合併することが多い.

■病態・原因疾患の割合

(図3-52)

 めまいの4〜5割は末梢前庭性めまいで,なかでも頭位めまいやMénière病が多い.3割に中枢性めまいがあり,脳血管障害が多い.聴神経腫瘍は3〜5%程度である.失神性めまいは1割程度と考えられる.

診断の進め方

■診断の進め方のポイント

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