今日の診療
内科診断学

リンパ節腫脹
奈良 信雄


リンパ節腫脹とは

■定義

 リンパ節腫脹(lymph node swelling)とは,リンパ節の大きさや数が異常に増した状態を指す.リンパ節に原発する疾患に起因することと,感染症や腫瘍など他疾患に随伴することがある.表在性のリンパ節腫脹は体表から触知できるが,深在性のものはCT検査,超音波検査などで確認する.

 リンパ節腫脹は局所に限局している場合と,全身性の場合がある.

■患者の訴え方

 頸部や鼠径部などのリンパ節が腫れてきたなどと訴える.「ぐりぐりする」などと表現する患者もいる.

■患者がリンパ節腫脹を訴える頻度

 リンパ節腫脹のみを主訴に受診してくるのは悪性リンパ腫の場合などで,頻度は低い.

 発熱や,口内炎・皮膚炎などに伴ってリンパ節腫脹に気づくことのほうが多い.

症候から原因疾患へ

■病態の考え方

 リンパ節は,頸部,腋窩,肘部,鼠径部,膝窩などの表在で触知することが多いが,深在性のものでは,縦隔,腹腔内などに注意する.リンパ管の流れに沿ってリンパ節の所在を理解しておくことが重要である(図3-155)

 健康な小児・若年者では,頸部に軟らかく平坦なリンパ節をしばしば触れ,直径1cmまでのものはほぼ問題ない.鼠径部では,直径2cmくらいまでのリンパ節を触知することもある.それ以上の大きさ,あるいはそれ以下の場合でも表面が不整であったり,圧痛を伴ったり,異様に硬い場合には慎重に対処する.

 リンパ節は,全身性の疾患に反応して全身性にリンパ節が腫脹したり,ある臓器の疾患に伴って所属リンパ節が反応して腫脹することがある.また,リンパ節自体に感染や腫瘍が起きて腫脹することもある.リンパ節腫脹をみた場合には,どのような病態でリンパ節が腫脹しているのかを考え(図3-156),その原因となった疾患を考察する必要がある(表3-156)

 リンパ節は,主に次のようなメカニズムで腫脹する.

●感染症や炎

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