現病歴:主婦.1か月ほど前から歩くとめまいがするようになった.また,夫と散歩をしていて「まっすぐ歩いていない」と言われた.このため,近くの医院を受診した.
既往歴:生来健康.
身体所見:意識は清明.身長160cm,体重58kg,体温36.2℃,脈拍72回/分(整),血圧120/72mmHg,呼吸数14回/分.呼吸音清明,心音も正常.眼振がみられた.
診断の進め方
特に見逃してはいけない疾患
中枢性めまい
・脳梗塞
・脳出血
・脳炎(小脳炎を含む),髄膜炎
・脳腫瘍(特に小脳・脳幹部)
・てんかん
・中毒(フェニトイン薬,アルコールなど)
・多発性硬化症
・脊髄小脳変性症
失神性めまい
・心不全や徐脈などの心疾患
・貧血,脱水,降圧薬などの循環障害
・起立性低血圧
・Shy-Drager症候群(多系統萎縮症)
・Parkinson病(Lewy小体病)
・自律神経ニューロパシー(糖尿病,アミロイドーシス,特発性)
末梢性めまい
・良性発作性頭位変換性めまい
・Ménière病
・突発性難聴
・前庭神経炎
・内耳炎
・薬物性前庭神経障害(アミノグリコシド,シスプラチン薬薬など)
・鼓膜損傷などの外傷
その他
・心因性
・視覚性
・頸性
・感覚性(脊髄後索障害や多発性神経炎)など
頻度の高い疾患
末梢性めまい(40〜50%)
・頭位変換性めまい
・Ménière病
・突発性難聴
・前庭神経炎
中枢性めまい(約30%)
・脳血管障害
・聴神経鞘腫
失神性めまい
■この時点で何を考えるか?
医療面接と身体診察を総合して考える点
患者の訴える「めまい」がどういう性質(表4-4)図かを医療面接で確認することが非常に重要である(表4-5)図〔症候・病態編「めまい」参照→〕.
この患者の最初の訴えでは回転性めまいの訴えではないが,〈p〉改めて医師が質問して「天井が回転するようなめまい」かどうかを確認する.同様に,〈p〉浮動性めまいと失神性めまいについても尋ねる.その結果,本
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