現病歴:会社員(事務職).1か月ほど前から体が回るようなめまいがするようになった.最近では,3日前にめまいが起き,耳鳴と悪心も伴って,2日間会社を休まないといけないほどであった.めまいが強いときは目も開けていられないほどで,寝返りも打てない状態で終日床に就いていた.思い出すとこの1年間に同じめまいが起きて会社を休んだことが2回あった.このようなめまいを主訴に近くの医院を受診した.めまいの誘因は特に自覚していない.
既往歴:会社の健康診断で3年前から右耳の聴力低下を指摘されていた.
身体所見:意識は清明.身長165cm,体重59kg,体温36.1℃,脈拍68回/分(整),血圧124/82mmHg,呼吸数14回/分.呼吸音,心音はいずれも正常.
神経学的所見:右耳の聴力が軽度低下していた.左向きの水平性・回旋性の混合性眼振が,患者が右・左のいずれの方向を見ても認められた.
診断の進め方
特に見逃してはいけない疾患
中枢性めまい
・脳梗塞
・脳出血
・脳炎(小脳炎を含む),髄膜炎
・脳腫瘍(特に小脳・脳幹部)
・てんかん
・中毒(フェニトイン薬,アルコールなど)
・多発性硬化症
・脊髄小脳変性症
失神性めまい
・心不全や徐脈などの心疾患
・貧血,脱水,降圧薬などの循環障害
・起立性低血圧
・Shy-Drager症候群(多系統萎縮症)
・Parkinson病(Lewy小体病)
・自律神経ニューロパシー(糖尿病,アミロイドーシス,特発性)
末梢性めまい
・良性発作性頭位変換性めまい
・Ménière病
・突発性難聴
・前庭神経炎
・内耳炎
・薬物性前庭神経障害(アミノグリコシド,シスプラチン薬薬など)
・鼓膜損傷などの外傷
その他
・心因性
・視覚性
・頸性
・感覚性(脊髄後索障害や多発性神経炎)など
頻度の高い疾患
末梢性めまい(40〜50%)
・良性発作性頭位変換性めまい
・Ménière病
・突発性難聴
・前庭神経炎
中枢性めまい(約30%)
・脳血管障
関連リンク
- 内科診断学 第3版/歩くと起こるめまい
- 内科診断学 第3版/めまい
- 治療薬マニュアル2023/フェニトイン《アレビアチン ヒダントール》
- 治療薬マニュアル2023/シスプラチン《ランダ》
- 治療薬マニュアル2023/シスプラチン《アイエーコール》
- 今日の治療指針2023年版/めまい,平衡障害【耳鼻科】
- 今日の治療指針2023年版/めまい,平衡障害
- 内科診断学 第3版/頭痛
- 内科診断学 第3版/めまい
- 内科診断学 第3版/歩くと起こるめまい
- 新臨床内科学 第10版/【3】めまい
- 新臨床内科学 第10版/2 その他の原因によるめまい
- 今日の診断指針 第8版/めまい・平衡障害
- 今日の診断指針 第8版/三叉神経・自律神経性頭痛
- 今日の診断指針 第8版/Ménière病