診療支援
診断

結膜の充血
conjunctival hyperemia
村上 晶
(順天堂大学 名誉教授)

結膜の充血とは

定義

 眼瞼結膜から球結膜にかけての表層の結膜血管の拡張を特徴とする「結膜充血」と,角膜と結膜の接合部である角膜輪部から眼球前部の眼球結膜深層の結膜血管の拡張による「毛様充血」の特徴をもつものが主になる.両方が混在することはしばしばある.

患者の訴え方

 「眼の充血」「赤目」「目の出血」「目の赤み」を訴える.

患者が結膜の充血を訴える頻度

 プライマリ・ケア医や救急施設を訪れる患者の約2~3%は眼に関する訴えがあり,その大部分は結膜の充血への対処に関するものとされている.

 一般眼科診療においては,屈折異常に伴う視力障害に次ぐ最も頻度の高い症状である.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

 結膜は眼瞼皮膚と角膜を結ぶ半透明な粘膜組織で,眼瞼の内側を覆う部分を眼瞼結膜,角膜と連続して眼球表層を覆う眼球結膜,これら2つを接続する円蓋部結膜から構成される.

 結膜は角膜とともに眼表面を構成する組織であり,眼球の光学的窓である角膜の透明性を維持するための重要な役割をもつ.

 眼球を感染や外傷などから守るためのバリアとして働いている.

 結膜充血と毛様充血は,感染性および非感染性の多様な要因に反応した結膜と結膜下に存在する微小血管系の血管拡張反応によって引き起こされる.

病態・原因疾患の割合

(図1)

 結膜充血はアレルゲンや眼表面の感染によって起こる炎症性疾患,結膜炎が原因疾患の多くを占める.毛様充血は角膜やぶどう膜の炎症による眼内の炎症性疾患や全身疾患に関連する非特異的な徴候として現れることが多い.

結膜の充血をきたす頻度の高い疾患

①非感染性結膜炎

●アレルギー性結膜疾患(表1),(表2),(図2),(図3)

 結膜炎と診断されるもののなかで最も頻度が高いとされている.4つの病型に分類される.

 2017年の日本眼科アレルギー研究会調査によると有病率は48.7%.アレルギー性結膜炎が多くを占める

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