嗅覚障害とは
定義
嗅覚障害とは,五感の1つである嗅覚がなんらかの異常をきたし障害された状態である.感覚障害のなかでも視覚,聴覚障害と比較して軽視されがちであるが,食事や花の香りの賞味ができなくなる,腐敗臭やガス漏れが察知できなくなるなどの問題を通じて患者のQOLに大きく影響している.
患者の訴え方
嗅覚障害は量的嗅覚障害と質的嗅覚障害に分かれる.量的嗅覚障害では患者は「においを感じにくい」(嗅覚低下),「まったくにおいを感じない」(嗅覚脱失)などと訴える.一方,質的嗅覚障害では「あるもののにおいを嗅いだときに本来のにおいと異なるにおいを感じる」(異嗅症),「ある特定のにおいを感じない」(嗅盲),「においが強く感じられて不快である」(嗅覚過敏)などの訴えがある.
患者が嗅覚障害を訴える頻度
耳鼻咽喉科を受診する患者のなかで嗅覚障害を主訴とする割合は少なく,5%程度と考えられる.嗅覚障害は加齢とと