甲状腺腫とは
定義
甲状腺腫とは,甲状腺が腫大した状態をいう.正常の甲状腺は,視診では認められず,触診でも触れにくい.触診で触知すれば,甲状腺腫があると考えてよい.甲状腺腫には,びまん性甲状腺腫と結節性甲状腺腫がある.
患者の訴え方
「首が腫れた」という訴えが多い.患者自身で気づく場合と,他人に指摘される場合がある.甲状腺腫を起こす原因疾患により,甲状腺ホルモンに異常をきたす場合と,そうでない場合がある.前者では,甲状腺ホルモン異常に伴う諸症状を訴えることが多い.
患者が甲状腺腫を訴える頻度
来院する橋本病患者では,90%以上が甲状腺腫を自覚している.
Basedow(バセドウ)病〔Graves(グレーブス)病〕患者では,女性で約15〜30%,男性で約3〜8%が甲状腺腫を自覚しており,男性のほうが甲状腺腫に気づきにくいことがわかる.
結節性甲状腺腫の場合は,そのこと自体が主訴であることが多いため