診療支援
診断

甲状腺腫
goiter,struma
飯高 誠
(医療法人社団甲誠会飯髙医院 理事長)

甲状腺腫とは

定義

 甲状腺腫とは,甲状腺が腫大した状態をいう.正常の甲状腺は,視診では認められず,触診でも触れにくい.触診で触知すれば,甲状腺腫があると考えてよい.甲状腺腫には,びまん性甲状腺腫と結節性甲状腺腫がある.

患者の訴え方

 「首が腫れた」という訴えが多い.患者自身で気づく場合と,他人に指摘される場合がある.甲状腺腫を起こす原因疾患により,甲状腺ホルモンに異常をきたす場合と,そうでない場合がある.前者では,甲状腺ホルモン異常に伴う諸症状を訴えることが多い.

患者が甲状腺腫を訴える頻度

 来院する橋本病患者では,90%以上が甲状腺腫を自覚している.

 Basedow(バセドウ)病〔Graves(グレーブス)病〕患者では,女性で約15〜30%,男性で約3〜8%が甲状腺腫を自覚しており,男性のほうが甲状腺腫に気づきにくいことがわかる.

 結節性甲状腺腫の場合は,そのこと自体が主訴であることが多いため

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