診療支援
診断

チアノーゼ
cyanosis
奈良 信雄
(日本医学教育評価機構 常勤理事/順天堂大学医学部 客員教授/東京医科歯科大学 名誉教授)

チアノーゼとは

定義

 血中の還元ヘモグロビン(Hb)もしくは異常Hbの増加によって,皮膚や粘膜が暗紫色になった状態をチアノーゼという.口唇粘膜,爪床,外耳,頰部などで目立ちやすい〔診察の進め方「部位別の身体診察 全身状態」図7参照〕.

患者の訴え方

 皮膚や粘膜の色調が不良であることを訴えるが,それよりもチアノーゼを生じる原因となった呼吸器疾患や心疾患による呼吸困難,四肢冷感などの自覚症状のほうを強く訴える.

患者がチアノーゼを訴える頻度

 チアノーゼを主訴として来院してくる患者の頻度は低いが,緊急処置を要する疾患のこともあり,ただちに原因疾患を診断しなければならない.心不全,ショック,呼吸不全などのときには,ただちに気道確保,人工呼吸,心臓マッサージなどの蘇生術を必要とすることがある.

症候から原因疾患へ

病態の考え方

(図1)

 チアノーゼは,還元Hbが毛細血管レベルで5g/dL以上(Hbが15g/

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