診療支援
診断

下痢
diarrhea
浅香 正博
(北海道医療大学 学長)

下痢とは

定義

 下痢の語源は,ギリシャ語のdia(through)とrhein(to flow)にあり,流通を意味する.すなわち,水分含量の多い液状の糞便を頻回に排出する状態が下痢である.

 健常者の糞便中の水分量は1日約100〜120mLで,1日の便重量が200gを超えることは稀である.個人間,個人内で大きな変動があるため,下痢の定義は,便の湿重量が1日250g以上とする場合が多い.

 臨床的には,一般に①便通回数の明らかな増加,②便の液状化,③1日の便重量が平均250gを超えるときを下痢と考える.

 下痢は急性下痢と慢性下痢に分類される.急性下痢は急激に発症し,しばしば腹痛を伴って1日4回以上排便をみる状態をいう.持続期間は1〜2週間以内である.

 慢性下痢は,小児や成人では 3週間以上,乳児では4週間以上,下痢症状の持続した場合と定義される.

患者の訴え方

 患者は症状の程度により,「しぶり腹」「

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