診療支援
診断

便秘
constipation
浅香 正博
(北海道医療大学 学長)

便秘とは

定義

 便秘とは,糞便の腸管内における異常な停滞あるいは通過時間の異常な延長により,排便回数や排便量が減少した状態を指す.同時に糞便が腸管内に停滞するため,水分量の減少が起こり,糞便が硬くなることが多い.

 排便回数や排便量は個人差が大きく,同一人でも食事内容や量によって変動が大きい.このため,便秘を厳密に定義することは難しいが,一般的には排便回数の減少(3〜4日以上排便のないもの),便量の減少(35g/日以下),硬い糞便の排出のいずれかにより,排便に困難を感じた状態と定義することが多い.これらのうち,最も簡便でよく用いられている定義は,排便回数の減少である.

患者の訴え方

 患者は「便の量が少ない」「便が硬い(兎糞状)」「排便しにくい」「排便の回数が少ない」「便意がない」などと訴えることが多い.便遺残感など,種々のものが含まれ,これら単独あるいは複合した意味で用いられる.また,腹部膨満感

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