診療支援
診断

月経異常
menstrual disorder
片山 茂裕
(埼玉医科大学 名誉教授/名誉病院長)

月経異常とは

定義

 月経とは,「約1か月の間隔で自発的に起こり,限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と定義される.表1に,月経周期や月経量や持続日数などの月経異常を示す.

月経周期の異常

 正常周期は25~38日であり,その変動が6日以内である.

①頻発月経:月経周期が短縮し,24日以内で発来した月経

②希発月経:月経周期が延長し,39日以上3か月以内で発来した月経

月経量および持続日数の異常

 経血量は20~140mL,月経持続日数は3~7日間が正常とされる.

①過少月経:経血量が異常に少ないもの

②過多月経:経血量が異常に多いもの

③過短月経:出血日数が2日以内のもの

④過長月経:出血日数が8日以上続くもの

無月経(amenorrhea)

①原発性無月経:性成熟期の18歳になっても月経が出現しないもの

②続発性無月経:以前あった月経の異常な停止(3か月以上)をきたしたもの

 これらの病的無月経に対して,初経前,閉経後,妊娠,産褥,授乳期における無月経は生理的無月経と呼ばれる.

患者の訴え方

 月経周期や経血量の異常は,「生理の回数が多い」「月経の量が多い」などの訴えになることが多い.また,月経中の下腹部痛や腰痛などの月経随伴症状(表2)を訴えることもある.

 「生理がない」と訴えたり,「思春期になっても生理が始まらない」などと訴えて原発性無月経が推測される場合,「4か月前から月経がない」などと訴えて続発性無月経が予測される場合がある.いずれにしても,初経がないのか,月経があったのちに無月経になったのかを確認する.

患者が無月経を訴える頻度

 無月経は婦人科疾患では1〜数%を占める.ただ,思春期の女性に限れば頻度の高い疾患である.原発性無月経が約40%を占め,続発性無月経が約60%を占める.

症候から原因診断へ

病態の考え方

 月経周期や経血量の異常は,経過観察が可能なことが多いが,月経随伴症状(

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