急性腹症とは
定義
急性腹症とは,一般的には発症1週間以内の突然発症した急激な腹痛のなかで,緊急手術やそれに代わる迅速な対応が必要な腹部(胸部なども含む)疾患の総称である.
急性発症の腹痛には全身状態の低下,バイタルサインの変化により病態把握が困難なことがあり,確定診断が得られないまま緊急に対応する必要が生じる場合もあることから,急性腹症という概念が導入されている.
急性腹症の原因となる疾患は,①腹痛部位の局在,②炎症・感染,機械的閉塞,循環障害などの病態,③腹部以外の疾患,④初期対応の緊急度により分類される.
腹痛の原因診断へのアプローチには,基礎疾患,病歴,身体所見,臨床検査,画像検査を総合的に評価する必要がある.近年,急性腹症の原因疾患の診断は,画像診断の進歩により,以前に比べて比較的容易となってきており,初期対応の診断補助に寄与している.しかし,高齢者や小児の病態把握は困難なことが多