診療支援
診断

眼球突出
24歳 女性
飯高 誠
(医療法人社団甲誠会飯髙医院 理事長)

現病歴:最近友人に目が腫れていると指摘され,視力に異常を感じないが,横を見るとものが二重に見えることに気づいたため眼科を受診した.やや疲れやすいと感じているが,目以外では体調に大きな変化はないと感じている.

既往歴:外傷など特記すべきことはない.

生活歴:会社勤務.喫煙歴,飲酒歴なし.

家族歴:母方の叔母に甲状腺疾患があるが,詳細不明.

身体所見:身長156cm,体重46kg,体温36.8℃,脈拍88回/分(整),血圧124/66mmHg.眼瞼結膜貧血なし,両側の眼球突出あり,眼瞼腫脹あり,Graefe(グレーフェ)徴候陽性.びまん性の甲状腺腫を触知.圧痛なし.手指振戦あり.胸腹部所見なし.下肢浮腫あり.

【問題点の描出】

眼球突出,眼瞼腫脹,複視などを呈する女性.びまん性の甲状腺腫を認める.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・Basedow(バセドウ)病

・眼窩内腫瘍

・副鼻腔腫瘍

・先端巨大症

・海綿静脈洞血栓症

頻度の高い疾患

・Basedow病

・強度近視

・炎症性眼球突出

・副鼻腔炎

・外傷性眼球突出

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

 眼球突出には眼球容積増大によるものと,眼球容積は正常だが周囲からの圧迫や眼窩容積狭小によるものがある.頻度としては〈p〉Basedow病による眼球突出が多く,腫瘍や炎症などの眼窩内疾患や周辺部の副鼻腔疾患,さらに海綿静脈洞などからの影響による眼球突出もある.

 本症例では,びまん性の甲状腺腫,眼瞼腫脹,眼瞼後退によるGraefe徴候,複視などの〈p〉Basedow病眼症の所見があり,頻脈や手指振戦など〈p〉甲状腺機能亢進症を示唆する所見を認める.以上よりBasedow病眼症による眼球突出が考えられる.

診断仮説(仮の診断)

Basedow病

・強度近視

・眼窩内腫瘍

必要なスクリーニング検査

 Basedow病による眼球突出が疑われるため,遊離(

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