診療支援
診断

意識障害
93歳 男性
塩田 由利
(出雲市立総合医療センター神経内科 診療部長)

現病歴:施設入所中.認知症がありベッド上生活で全介助ADLだが,簡単な会話は可能だった.1か月前頃から食欲低下し,少量の栄養補助薬が食事代わりであった.前日22時の体位交換時は特に変わりなかったが,午前7時に職員が訪室し声かけしたところ,呼吸が不規則で反応がないため8時に救急搬送された.

既往歴:87歳時に心不全,大動脈弁狭窄症(重症)で入院,92歳時に一過性意識消失.

生活歴:特記事項なし.

家族歴:特記事項なし.

身体所見:身長144.0cm,体重37.8kg,体温36.4℃,脈拍80回/分(不整),血圧99/58mmHg,呼吸数16回/分でCheyne-Stokes(チェーン・ストークス)呼吸,SpO2 97%,room air.貧血・黄疸なし.頸静脈の怒張なし.胸部は肺雑音なし,心音不整,頸部に放散する収縮期駆出性雑音を聴取する.腹部は著変なし.下腿浮腫なし.神経学的には意識レベルはJCS Ⅲ-200,GCS E1V1M4,眼球は右方に共同偏視,瞳孔は左右同大で3mm,対光反射+/+,眼球頭位反射は陽性,ドロッピングテストおよび膝立てテストで左上下肢麻痺の疑い,左側でBabinski(バビンスキー)反射陽性,項部硬直なし,NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale) 34点.

【問題点の描出】

心疾患既往のある高齢男性.食事量がここ最近減っていた.急性発症の意識障害で救急搬送.Cheyne-Stokes呼吸を認め,半昏睡状態.右方への眼球共同偏視と左半身麻痺,左側で病的反射陽性を認める.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・ショック(急性心筋梗塞,肺塞栓症,大動脈解離,消化管出血,敗血症など)

・低酸素血症

・代謝性疾患(低血糖,ビタミンB1欠乏症)

・脳卒中

・中枢神経感染症(髄膜炎,脳炎など)

頻度の高い疾患

・脳卒中

・代謝性疾患

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