最初の10分メモ
含有する製品
・コカイン(クラック,コーラ,ノーズキャンディ,パウダーなど)
診断のポイント
・コカインの使用歴があるまたは使用を疑わせる所見(“coke burn”と呼ばれる瘢痕を伴う注射痕,慢性吸入患者の「鼻中隔穿孔」など)のある患者に,不穏・興奮,錯乱などの中枢神経興奮症状および散瞳,高血圧,頻脈などの交感神経興奮症状を認める.
・若い患者に頭蓋内出血または心筋梗塞を認めれば,コカイン中毒も疑う.
・鑑別診断にはTriage®が役立ち,COC(コカイン系麻薬)が陽性となる.
・ボディーパッカーまたはボディスタッファーでは,腹部X線で腸管内に異常陰影を認める.
治療のポイント
・高体温,不穏・興奮,高血圧,洞性頻脈に対しては,まずジアゼパム薬やミダゾラム薬などのベンゾジアゼピン系薬物を投与.
・ボディパッカーまたはボディスタッファーでは,腸洗浄を考慮する.
Do&Don't
・プロプラノロールはβ2-アドレナリン受容体遮断作用により血管拡張を阻害するために奇異性高血圧が生じる.したがって,特異的な拮抗薬とは考えてはならない.
概説
コカイン(ベンゾイルメチルエクゴニン)は,エリスロキシロン・コカ(Erythroxylon coca)などの灌木の葉から抽出される天然アルカロイドである.米国では,中毒死の主要な原因薬物の1つである.純度の高いものは,無色・無臭の柱状結晶である.強い多幸感が生じるために,主として精神依存により乱用が生じやすい.日本では,コカインの流行の歴史はなく,コカイン中毒に遭遇する機会は稀であるが,麻薬および向精神薬取締法で規制されている(化学構造:図1図).
薬物動態
・吸煙,鼻腔粘膜からの吸収,経口摂取,静注,筋注などあらゆる経路から摂取される.
・コカインを包装のしっかりしたものに包んで飲み込み密輸を企てる「ボディパッカー」,または,警察に見つからないようにあ
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