診療支援
治療

【2】咽頭痛
sore throat
加島 雅之
(熊本赤十字病院・総合内科部長)

症候を診るポイント

●多くはウイルス性上気道炎であり数日で自然軽快する.

●抗菌薬使用の適応を理解する.

●嚥下困難,開口障害,呼吸困難感を合併する場合は致死的疾患の場合があり注意を要する.

▼定義

 咽頭部の疼痛のこと.咽頭部の疼痛以外の異常感覚は咽頭違和感として区別される.また,咽頭部以外の頸部の痛みは頸部痛として区別される.

▼病態生理

 咽頭痛は,感染症やアレルギー,自己免疫疾患に伴う咽頭部の炎症によるもの,咽頭部付近の悪性腫瘍,声の出しすぎなどの機械的な刺激によるもの,心筋梗塞・大動脈解離などの心血管疾患の放散痛などにより生じる.

▼初期対応

 急性咽頭痛の多くは,ウイルス感染によるものであり,通常3日前後で自然軽快するものである.初期対応としては,溶連菌性扁桃炎および危険な咽頭痛を示唆する所見が認められない場合には,対症療法と経過観察を行う.

 血圧の変動,呼吸困難感や酸素化低下をきたしているもの,開口障害を伴うもの,嚥下困難が合併し唾液も飲み下せないもの(流涎),高度な嗄声を伴う・喘鳴を呈するもの,咽頭痛が強いにもかかわらず咽頭所見がほとんどないものは緊急処置を要する疾患を示唆する所見である.

▼鑑別診断

 急性咽頭痛と漿液性鼻汁の両者が同時に認められる場合にはそのほとんどはウイルス感染症である.特に咽頭後壁にリンパ濾胞形成を認める場合はインフルエンザに特徴的である.咽頭痛があり漿液性鼻汁がある場合に,アレルギー反応や中毒によるヒスタミン過剰症状の場合がある.

 Centor(センター) criteria(表1-8)を確認し,合計で2点以上の場合には溶連菌迅速抗原検査を行い,溶連菌による扁桃炎を確認する.通常,咽頭炎・扁桃炎は3日程度で症状は改善する.それ以上,症状が持続する場合でリスクの高い性行為が1か月以内にある場合はクラミジア,淋菌,梅毒も鑑別に挙がる.扁桃炎所見があり,後頸部

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