症候を診るポイント
●発症からの経過と随伴症状を確認する.
●喫煙歴があれば胸部単純X線写真は撮影する.
●頸部と前胸部の聴診は忘れずに.
▼定義
声がかれている状態を指す.
▼病態生理
声帯に炎症が生じると嗄声が生じる.慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などにより鼻汁が声帯に流れ込む後鼻漏が原因のこともある.咽頭の炎症の波及でも起こりうる.声帯にポリープができて物理的に影響して嗄声をきたす場合と声帯の機能不全で生じることもある.声の機能を司る迷走神経が障害を受けても嗄声を訴える.肺癌に伴う大動脈弓近傍の縦隔リンパ節腫大によって迷走神経が圧迫を受けると慢性の嗄声を引き起こす.
▼初期対応
嗄声の原因となる疾患で致死的な疾患はあまりないが原因別に対応が異なる.声帯そのものの病態が考えられる場合には耳鼻科医や救急医によって喉頭鏡検査を施行して直接声帯を肉眼的に見て炎症,ポリープ,声帯の動きの左右差などを評価す