症候を診るポイント
●食欲不振は非特異的な症状であり,多彩な疾患に伴って出現する.随伴する症状や症候から原因疾患を考える.
●全身倦怠感も非特異的な症状である.これが,過重な労働・運動や精神的な負担から起こった生理的な反応なのか,それとも身体的疾患や心理・社会的な背景に伴う過度な倦怠感かどうかに注目する.
▼定義
食欲不振とは,空腹感を惹起する状況にもかかわらず,食物摂取/摂食に対する要求が減少や消失がみられること.
全身倦怠感は,身体的には筋力が低下するように自覚する脱力感のような状況を示し,精神的には患者自身の元気さの低下や活力・意欲の低下をきたす.生理的(運動,睡眠,ダイエット,ストレス),二次性(全身性疾患に併存),慢性(慢性疲労症候群)の全身倦怠感に分けられる.
▼病態生理
➊食欲不振
感染症・炎症・悪性腫瘍に伴う食欲不振は,免疫細胞が炎症性サイトカインを産生し,発熱や疼痛,食欲の抑制を引