症候を診るポイント
●出血源として,上部消化管のほか,気道も考慮する.
●ショックバイタル例,非代償性肝硬変などの臨床的高リスク例では,輸血や緊急内視鏡を含む迅速な対応が必要となることが多い.
●受診時にバイタルサインが安定していても,その後の再吐血で急変する場合がある(食道静脈瘤,動脈性出血).
●内視鏡では対応困難な「超重症例」の存在に留意する.
▼定義
血液そのものか,その変性物質(コーヒー残渣様吐物)を吐くことをいい,出血源として上部消化管と気道(鼻腔,咽喉頭,気管,肺)が含まれる.
▼問診・身体所見・検査所見
➊問診
併存疾患(易出血性をきたす非代償性肝硬変,特発性血小板減少性紫斑病,遺伝性出血性毛細血管拡張症),手術歴(腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術),治療歴(食道癌,特に化学放射線療法),服薬歴(抗血小板薬・抗凝固薬・消炎鎮痛薬,非選択的β拮抗薬)を確認する.受診前最後の食事(last