症候を診るポイント
●口渇があるときは,まず循環血漿量減少がないかを判断する.
●背景にある病態だけでなく個々の鑑別疾患を考えながら問診・身体診察を進めていく.
▼定義
口渇とは,口の中や喉が渇き,水分摂取を求める感覚であると定義される.口渇は体の水バランスを維持するために重要な役割を果たす.
▼病態生理
体の水バランスの指標である血漿浸透圧は,生理的に275~295mOsm/kgH2Oで維持されている.水の摂取と排泄によって調節されるが,前者は口渇によって,後者はADHの分泌によって調整される.
血漿浸透圧上昇をきたすと,中枢性浸透圧受容器で感知され,情報が視床下部へ伝えられる.そこから渇中枢が刺激され口渇を生じて飲水行動を誘発し,他方でADH分泌を促す.ADH分泌促進は腎での水再吸収を増加させる.
また,循環血漿量の減少があると,左心房や頸動脈,大動脈-右心房接合部に存在する圧受容器が感知し,