症候を診るポイント
●びまん性か結節性か,有痛性か無痛性かについて診察を行う.硬さについての情報も重要である.
●甲状腺ホルモンの過剰/欠乏について評価する.眼球突出や精神状態・体重変化や手指振戦の有無など,甲状腺以外の症状にも注目する.
●悪性腫瘍では,結節が石状硬である,腫瘍の増大速度が速い,嗄声,周囲の組織との癒着,周囲のリンパ節腫脹を伴うことがある.
▼定義
甲状腺がびまん性に腫大するものを甲状腺腫とよび,結節性に腫大するものを甲状腺結節とよぶ〔甲状腺の疾患については第7章の「甲状腺疾患」も参照〕.
▼病態生理
甲状腺は甲状腺ホルモンを産生・分泌する臓器であり,輪状軟骨の尾側,気管の前面に存在する.甲状腺ホルモンは全身に作用するため,その多寡によりさまざまな症状が全身に現れる.
甲状腺腫大は,ホルモン分泌が亢進している機能性腫大と,ホルモン分泌をしない非機能性腫大に分類される.分泌が亢進する