症候を診るポイント
●問診,診察から歩行障害の内容を明らかにする.
●歩行の診察は,診察室内という特殊環境下である点にも要注意.
●診察時には,転倒リスクなど患者の安全に十分な配慮が必要.
▼定義
歩行できないこと(狭義)と歩き方の異常(広義,歩行の異常)を歩行異常とよぶ.
▼病態生理
歩行には起立・姿勢保持,歩行リズム形成から重心移動・姿勢制御まで,末梢(筋骨格,末梢神経)から,脊髄,前庭,小脳,大脳基底核,視床,大脳に至る多様な機構の関与が知られる.歩行障害は85歳以上で40%に及び,ADLやQOLに直結し,不慮の事故の主因である転倒や転倒関連外傷のリスクとしても重要である.
▼初期対応
狭い診察室の中では見落とすものも多いことを心がけ,身体所見や生活動作全体における目配りも重要である.急性発症では,脳卒中や神経筋疾患など治療介入可能な病態を早期に鑑別する.転倒,骨折既往(特に半年以内)があれば,