診療支援
治療

【10】構音障害,嚥下障害
dysarthria,dysphagia
野溝 崇史
(湘南厚木病院・総合内科)
和足 孝之
(島根大学医学部附属病院・卒後臨床研修センター)

症候を診るポイント

●構音障害は,まず失語症との鑑別を行う.

●構音障害と嚥下障害を同時に伴えば,神経性疾患の可能性が高い.

●突然発症の構音障害・嚥下障害は脳血管障害を考慮する.

▼定義

 構音障害とは口唇,口蓋,舌,咽頭機能の障害による発声の異常である.また,嚥下障害とは,食物が口腔,咽頭,食道を通過する際に通過が止まったり,遅れる感覚と定義される.嚥下障害の原因としては大きく分けて,咽頭部の異常か,食道の異常の2種類である.飲み込みにくさが「飲み込み始め」にあれば咽頭部の異常,「飲み込んだ後数秒してから」にあれば食道の異常と区別できる.構音障害,嚥下障害を起こす病態は幅広いが,本項目では神経疾患による口腔・咽頭異常における構音障害と嚥下障害について述べていく.

▼病態生理

 神経疾患による構音・嚥下障害には下部脳神経障害が関与する.構音とは発声された音,あるいは息の流れが舌,口蓋,口唇などにより子

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