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7 原発性肺アミロイドーシス
primary pulmonary amyloidosis
萩原 弘一
(自治医科大学教授・内科学講座呼吸器内科学部門)

▼定義

 アミロイドーシスは,アミロイド蛋白とよばれる線維構造蛋白が,各種臓器の細胞外組織に沈着する疾患である.線維構造蛋白免疫グロブリンの軽鎖で全身性,限局性に分類される.全身性アミロイドーシスは,免疫細胞性(原発性,骨髄腫に伴うもの),反応性(関節リウマチなど慢性炎症に伴うもの),家族性などに分類される.限局性アミロイドーシスは脳,内分泌性,皮膚,限局性結節性に分類される.肺では全身性アミロイドーシスの肺病変として発症するもの,および肺のみに限局性に発症するもの(原発性肺アミロイドーシス)がある.

▼病態

 アミロイド蛋白は,HE染色で桃色に,コンゴレッド染色で橙赤色に染色され,偏光顕微鏡で緑色の複屈折を呈する無構造な物質である.当初,デンプン粉様物質と考えられたため,アミロイド(類デンプン質)と命名されたが,実際は,生体内に存在する蛋白質の一部が集積・沈殿したものである.前駆体となる蛋白は複数あるが,免疫グロブリン軽鎖(κ鎖,λ鎖)が代表的なものである.

 アミロイド沈着により,臓器機能が障害され,各種臨床症状が生じる.病変の分布により気管・気管支型・びまん性肺胞中隔型,結節性肺実質型に分類される.

▼疫学

 原発性肺アミロイドーシス患者は症例報告レベルの稀少疾患である.しばしばSjögren(シェーグレン)症候群に合併する.免疫グロブリン軽鎖(λ鎖)によるものが多い.

▼診断

 臨床症状は比較的乏しい.有症状例では,気管・気管支型では咳,喘鳴,血痰,喀血などの気道症状,びまん性肺胞中隔型では労作時呼吸困難が出現する.結節性肺実質型はほとんど症状がない.気管・気管支型は気管支鏡施行時,結節性肺実質型は胸部X線写真異常で偶然に発見されることが多い.びまん性肺胞中隔型は全身性アミロイドーシスの肺病変であることが多く,皮膚など他臓器のアミロイドーシスとともに認められる.

 気管支鏡検査では黄

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