▼定義
心不全とは何か? 初めて心不全を学ぶ人にとっては,わかりにくい概念かもしれない.日本循環器学会と日本心不全学会は2017年一般向けの心不全の定義を「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり生命を縮める病気です」と発表した.この定義は,心不全の病因の理解より,どのような症状で発症し,生命を縮める恐ろしい病態であることを,一般人が理解できることを第一義にしている.一方,最新の日本循環器学会の「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」では心不全とは,「なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義されている.
これら2つの定義に,若干の補足を加えると,心不全は臨床症候群であり,あらゆる心臓病が原