疾患を疑うポイント
●完全型の場合,出生から幼児期までにチアノーゼ・心雑音から心エコーに至り診断される.不完全型は,心房中隔欠損に類似する.
学びのポイント
●心臓の形態のみならず臨床経過も完全型と不完全型では大きく異なるので,その病態の違いを理解する.形態的な重要な共通点は,両側の房室弁の位置にずれがないこと(同一平面)である.
▼定義
房室弁に隣接する房室中隔組織の欠損に房室弁異常を合併する疾患で,心房一次中隔と心内膜床の癒合,膜性心室中隔(心室中隔流入部)の形成,房室弁形成の過程で異常を生じ,心房中隔欠損・房室弁形成異常・心室中隔(流入部)欠損(scooping)を生じ,病型が形成される.大きく完全型(図3-87図)と不完全型に分類される.また,心室中隔流入部欠損の程度により房室結節・His(ヒス)束が後下方へ偏位する.房室中隔組織が胎生期の心内膜床に由来するため心内膜床欠損症ともよばれる.