診療支援
治療

5 左心低形成症候群
hypoplastic left heart syndrome(HLHS)
白石 公
(国立循環器病研究センター・教育推進部・部長)

▼定義

 胎生期に僧帽弁,大動脈弁,もしくは両者が閉鎖したために,左心室および上行大動脈の発育が著しく障害された症候群.最も予後不良な先天性心疾患の1つ(図3-101)

▼病態

 右心室は唯一の機能的心室であり,肺動脈より出た血液は左右の肺と動脈管から全身へと駆出される.体血流は動脈管に依存する.

▼疫学

 発症は先天性心疾患の約1%とされている.

▼診断

臨床症状

 生後間もなくチアノーゼ,心雑音で気づかれる.動脈管が閉鎖すると,体血流が維持できず,急速にアシドーシスから死に至る.動脈管が維持された場合,生後1週間を超えて肺血管抵抗が下がると,肺へ大量の血流が流入し,呼吸不全,心不全,無尿,ショックに陥る.

検査所見

1)胸部X線

 心拡大と肺血管陰影の増強が経過とともに進行する.

2)心電図

 右軸偏位,右室肥大,左室成分の減少(V1のR波減高)がみられる.

3)心エコー

 大きな右心室,痕跡的な左心室,細

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