▼定義
大腸癌とは,大腸粘膜上皮から発生した悪性腫瘍である.大腸は,盲腸,結腸,直腸S状部,直腸から構成されるが,虫垂,肛門管までを含めて取り扱う.
▼病態
➊散発性大腸癌
大腸癌の大部分は非遺伝性であり,環境因子の曝露が主因とされる.大腸粘膜上皮に遺伝子変異が蓄積して発生する.
1)adenoma-carcinoma sequence
良性腫瘍である腺腫から発癌する経路.主として隆起型(ポリープ)病変からの進展経路である.APC,K-ras,p53などさまざまな遺伝子変異が関与する.
2)de novo発癌
前癌病変を介さず,正常粘膜から直接癌が発生する発癌機序.主として平坦陥凹型病変からの進展経路であるが,隆起型のde novo癌も存在する.平坦陥凹型病変ではK-ras変異が関与しないという特徴がある.
3)serrated neoplasia pathway
過形成性ポリープやsessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)などの鋸歯状病変を母地とする発癌機序.近位大腸に好発し,BRAF変異,CpG island methylator phenotype(CIMP),MSI(microsatellite instability)などの特徴的な遺伝子異常を伴う.
4)炎症性発癌
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の長期経過例などの慢性炎症を母地として発生する経路で,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)のみでなくCrohn(クローン)病も高発癌状態である.UCでは10年以上の経過例,全大腸炎型に合併しやすく,びまん性浸潤型や低分化型腺癌,粘液癌が比較的多くみられる.周辺には,前癌病変である異型腺管(dysplasia)を伴う.前癌病変のdysplasiaの段階ですでにp53遺伝子異常が生じる.C
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/レボホリナートカルシウム《アイソボリン》
- 治療薬マニュアル2023/(合剤)テガフール・ウラシル《ユーエフティ》
- 治療薬マニュアル2024/(合剤)テガフール・ウラシル《ユーエフティ》
- 治療薬マニュアル2024/ホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)《ロイコボリン ユーゼル》
- 治療薬マニュアル2023/カペシタビン《ゼローダ》
- 治療薬マニュアル2024/カペシタビン《ゼローダ》
- 治療薬マニュアル2024/フルオロウラシル《5-FU》
- 治療薬マニュアル2024/オキサリプラチン《エルプラット》
- 治療薬マニュアル2024/イリノテカン塩酸塩水和物《カンプト トポテシン》
- 治療薬マニュアル2024/ベバシズマブ(遺伝子組換え)《アバスチン》
- 治療薬マニュアル2024/セツキシマブ(遺伝子組換え)《アービタックス》
- 治療薬マニュアル2024/パニツムマブ(遺伝子組換え)《ベクティビックス》
- 新臨床内科学 第10版/2 胃癌
- 新臨床内科学 第10版/3 胃腺腫
- 今日の診断指針 第8版/食道癌
- 今日の診断指針 第8版/大腸癌
- 今日の治療指針2023年版/内視鏡切除術
- 今日の治療指針2023年版/大腸癌
- 今日の治療指針2023年版/口腔癌,中咽頭癌