診療支援
治療

(2)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(EGPA)
矢野 智則
(自治医科大学准教授・消化器内科学)

▼定義

 好酸球が豊富に存在する壊死性肉芽腫性炎症がしばしば呼吸器系を障害し,壊死性血管炎が主として小・中型血管にみられ,臨床的に喘息と末梢血好酸球増多を伴う疾患と定義される.かつては,アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis:AGA)あるいはChurg-Strauss(チャーグーストラウス)症候群とよばれ,抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎の1つである.

▼病態

 気管支喘息,アレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患が先行し,ステロイド治療・再燃を繰り返すうちに,好酸球増加を伴って,発熱,体重減少,多発性単神経炎(約90%)による手袋・靴下型の知覚障害,運動障害,虚血性腸炎による腹痛や下血,皮膚血管炎(約60%)による紫斑などの血管炎症状が出現する.気管支喘息から血管炎を発症するまでは3年以内が多い.頻度は低いが,呼吸器症状,循環器症状,腎機能障害,脳血管障害に伴う症状,関節痛・筋肉痛もみられる.

▼疫学

 わが国での年間受療者数は約1,800人で,1年間の新規患者数は約100人と推定されている.発症年齢の平均は55歳で40~69歳が66%を占め,男女比は1:1.7とやや女性に多い.

▼診断

 1998年に厚生省(現厚生労働省)によって下記診断基準が示されている.

主要臨床所見

①気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎

②好酸球増加

③血管炎による症状(発熱・体重減少・多発性単神経炎・消化管出血・紫斑・多関節痛・筋肉痛)

臨床経過の特徴

 主要臨床所見の①②が先行し,③が発症する.

主要組織所見

①周囲組織に著明な好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽腫性またはフィブリノイド壊死性血管炎の存在

②血管外肉芽腫の存在

 確診は,の3項目を満たしの1項目を満たした場合か,の3項目と

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