診療支援
治療

10 アルコール性肝障害
alcoholic liver disease
米田 政志
(愛知医科大学教授・内科学講座(肝胆膵内科))

疾患を疑うポイント

●常習飲酒者で,ほかにウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎,薬物性肝障害などが否定的な肝障害患者が疑わしい.

●アルコール代謝能は個人差があるので少量の飲酒量でも本症を発症する可能性がある.

学びのポイント

●アルコールの肝臓での主な代謝経路はADH系であるが,その他にMEOSおよびカタラーゼ系がある.

●アルコールの中間代謝産物であり,細胞毒性を有するアセトアルデヒドの代謝酵素である2型ALDHには遺伝子多型が存在する.

●アルコール性肝炎は,常習飲酒者の急激な飲酒量の増加によって起こる病態であり,腹痛,発熱,黄疸,白血球増加を伴う.重症型アルコール性肝炎になると急性腎不全,感染,消化管出血などを伴って致死的となる.

▼定義

 慢性的な過剰飲酒により引き起こされる肝障害であり,通常,エタノール換算60g(日本酒約3合)/日以上の飲酒を5年以上継続することによって発症するが,エタノールに対す

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