診療支援
治療

(2)デュビン-ジョンソン症候群
Dubin-Johnson syndrome
阿部 雅則
(愛媛大学大学院准教授・消化器・内分泌・代謝内科学)
日浅 陽一
(愛媛大学大学院教授・消化器・内分泌・代謝内科学)

▼定義

 ビリルビン代謝の先天的異常により起こる抱合型高ビリルビン血症であり,肝内外の胆管には異常がなく,肝障害を伴わない.ビリルビンの肝細胞膜輸送障害により黄疸を生じる(表5-19)

▼病態・疫学

‍ Dubin-Johnson(デュビン-ジョンソン:DJ)症候群は日本人では30万人に1人程度と考えられている.常染色体劣性遺伝で,肝細胞毛細胆管膜上に存在するMRP2の遺伝子異常が本態である.MRPはATP依存性に有機アニオンやビリルビンを胆汁中に能動輸送しているため,本症候群では抱合型ビリルビンの胆汁排泄の障害が生じて細胞内貯留が起こるが,類洞側膜上にMRP3の発現が誘導されてビリルビンの血中への逆流をきたすようになる.

▼診断

 抱合型高ビリルビン血症がみられるのみで,ほかの肝機能検査値に異常はみられない.血清総ビリルビンは2~5mg/dL程度のことが多い.インドシアニン・グリーン(in

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