疾患を疑うポイント
●黄疸,胆道系に有意な肝機能障害.
●胆管拡張.
●胆囊腫大.
●右季肋部腫瘤蝕知.
学びのポイント
●胆管癌(乳頭部癌含む)は胆管壁から発生する腫瘍で,胆管狭窄に起因する所見が特徴的.
●閉塞性黄疸の病態を理解する.
●胆囊癌は早期に発見できれば予後は良好であるが,進行例の予後は不良.
●胆囊癌の高危険群を理解する.
▼定義
胆管,胆囊の粘膜から発生する悪性腫瘍.
▼病態
肝内胆管に発生する肝内胆管癌と肝外胆管(総胆管,総肝管,肝門部胆管)に発生する肝外胆管癌では病態が異なる.肝内胆管癌は腫瘤を形成して,原発性肝癌に分類される〔本章「肝内胆管癌(胆管細胞癌)」の項(→)参照〕.一方乳頭部癌は乳頭部胆管・共通管の粘膜より発生し,やはり病態が少し異なる〔第4章「十二指腸乳頭部腫瘍」の項(→)参照〕.肝外胆管癌は胆管にそって進展し,胆管狭窄による胆汁うっ滞性肝障害,閉塞性黄疸を高率に呈する.
胆汁は肝代謝により産生され,乳頭部から十二指腸に排出され,便に排泄される.この経路が胆道閉塞によって機能しなくなると,胆汁は大循環へ流入し,腎臓から排泄されるようになる.血中に流入した胆汁により黄疸を呈し,便は灰白色となり,尿中に排泄されたビリルビンにより褐色尿となる.血中の胆汁酸のために瘙痒感が生じ,感染胆汁が流入した場合には菌血症を引き起こし,易感染性宿主においては容易に敗血症へと移行する.
胆管は解剖学的に肝門部領域胆管と遠位胆管に分けられて,胆管癌の発生部位により病態や治療が異なることを覚えておく必要がある.遠位胆管は1本の管であるので閉塞したときのマネジメントが容易であるが,肝門部領域は胆管枝が分断されて泣き別れの状態になるため,どの枝をドレナージすべきか,手術のときにどこまでの肝葉を切除すべきかなど,手術の専門的な知識が必要となる.
▼疫学
わが国の胆道癌の死亡者数は増加傾向にあ
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