疾患を疑うポイント
●ケトーシスに伴うことが多い悪心・嘔吐などの消化器症状が認められた場合に疑う.
学びのポイント
●インスリンの絶対的欠乏状態にある1型糖尿病患者で生じることが多い.
●高度のインスリン欠乏とインスリン拮抗ホルモンの過剰による,脂肪分解の亢進がケトン体合成を増やしアシドーシスをきたす.
●輸液,インスリン静脈内注射,電解質の補充が治療のポイント.
▼定義
インスリン作用の欠乏により生じる高度の急性代謝失調状態.高度のインスリン欠乏とインスリン拮抗ホルモン(グルカゴン,カテコールアミンなど)の過剰により,脂肪分解の亢進が起こり,ケトン体合成が高まることにより血中にケトン体が増加し,代謝性アシドーシスを呈した状態である.
▼病態
インスリンの高度な欠乏状態では,肝臓における糖新生の増加,骨格筋における糖取り込み低下により高血糖を生じるとともに,脂肪組織においては脂肪分解が亢進し遊離脂肪酸の