診療支援
治療

(1)糖尿病足病変
diabetic foot
井口 登與志
(福岡市医師会福岡市健康づくりサポートセンター・センター長)

▼定義

 糖尿病足病変には,広義には足趾間や爪の白癬症,足や足趾の変形や胼胝,足潰瘍や足壊疽まで幅広い病態が含まれる.国際的には,神経障害血流障害を合併した糖尿病患者の下肢に生じる感染症,潰瘍,深部組織の破壊性病変と定義されている.

▼病態

 足潰瘍や壊疽の発症には神経障害(末梢神経障害,自律神経障害)と血流障害が関与する.血流障害,特に重症虚血肢が合併すると難治性となり切断リスクが高くなる.これらの障害を有する足に靴ずれ,外傷,熱傷,胼胝・鶏眼の亀裂,爪病変などの外的要因が加わると潰瘍が形成され,さらに易感染性により感染が加わると壊疽となる.

▼疫学

 わが国における糖尿病患者の足壊疽合併率は0.7%(平成19年厚生労働省国民健康・栄養調査)であり,糖尿病患者での下肢切断率は健常者より15~40倍高いとされている.下肢切断に至った糖尿病患者の生命予後は不良であり,下肢切断後の死亡率は3年で約50

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