診療支援
治療

1 乳糖分解酵素障害症(乳糖不耐症)
lactose intolerance
阿部 百合子
(日本大学・小児科学)
浦上 達彦
(日本大学診療教授・小児科学)

疾患を疑うポイント

●乳糖を摂取後に腹痛,下痢,鼓腸,腹部膨満などの消化器症状を呈する.

●人種による差が大きい.

学びのポイント

●乳糖分解酵素障害症(乳糖不耐症)は,乳糖分解酵素(ラクターゼ)の活性低下によって生じる.

●ラクターゼの活性が低下しているため乳糖を消化吸収できず,消化器症状をきたす.

●乳糖除去食によって,カルシウムとビタミンDの摂取量が不足することがある.

▼定義

 乳糖摂取後に腹痛,下痢,鼓腸,腹部膨満などの症状を呈する症候群.ラクターゼの活性が低下しているために,乳糖を分解,吸収することができず乳糖の消化吸収障害をきたす

▼病態

 乳糖はミルクや乳製品に含まれる二糖類であり,小腸粘膜にある乳糖分解酵素によって,単糖類であるブドウ糖とガラクトースに分解され吸収される.乳糖不耐症では,先天性あるいは二次性にラクターゼの活性が低下しているため,乳糖が腸内腔に残存して水分が管腔内に流出し,浸

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?