疾患を疑うポイント
●LDL-CとTGの両者が増加するⅡb型高脂血症で疑う.
●若年性心筋梗塞の既往がある脂質異常症の患者で疑う.
学びのポイント
●遺伝と生活習慣の両方の関与の大きい脂質異常症で,成人後に発症するため,基本的には通常の脂質異常症として,ガイドラインに準拠した治療を行う.
▼定義
家族性に脂質異常症が蓄積する遺伝性疾患である.表現型としてはⅡb型の高脂血症を基盤とするが,食事や年齢などの影響を受けてⅡa型やⅣ型も呈する.第1度近親者にⅡa,Ⅱb,Ⅳ型高脂血症が存在することが多い.心筋梗塞既往患者に多い疾患として提唱され,動脈硬化性疾患を惹起しやすい.
▼病態
肝臓での超低密度リポ蛋白(VLDL)の合成過剰を基盤として,低密度リポ蛋白(LDL)はコレステロールに比しアポリポ蛋白B100が相対的に過剰(hyper-apo B100)で,TGに富み小粒子化(small dense LDL,LDL粒子径<25.5nm)する.
アポリポ蛋白B100の合成亢進,VLDLの肝臓からの過剰分泌,LPLの活性低下,内臓脂肪の蓄積などが成因として考えられており,LPL,USF1,アポB遺伝子,アポC-Ⅱ遺伝子,アポA-Ⅰ/C-Ⅲ/A-Ⅳ遺伝子群などのほか,LDLR,PCSK9など多くの関連遺伝子が報告されているが,確定的なものはない.遺伝的要因に過栄養・肥満・身体活動不足などの後天的要因が加わり発症すると考えられる.脂質異常症が誘発されやすいなんらかの遺伝子多型が存在するとも考えられる.
冠動脈疾患の合併はFHほどではないが頻度は高い.アキレス腱肥厚を含め黄色腫は認められない.
▼疫学
頻度は約100人に1例程度ときわめて高く,遺伝形式は単一遺伝子異常に基づくものではなく,多因子遺伝性疾患であることが示唆されている.肥満は必ずしも伴わない.わが国では,心筋梗塞の発症が男性で35歳,女性で55
関連リンク
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